「また電気代が上がった…」「このまま払い続けるのは正直しんどい」。
近年の電気料金の高騰を受け、多くのご家庭でこのような悩みが深刻化しています。在宅勤務の普及や猛暑・厳冬によるエアコン利用の増加も相まって、家計における電気代の負担は増すばかりです。
そんな中、解決策として注目されているのが「新電力」への乗り換えです。しかし、「本当に安くなるの?」「種類が多すぎて選べない」「倒産したら電気が止まるんじゃないの?」といった不安や疑問から、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エネルギー分野の専門家が、そんなあなたの不安を解消します。新電力の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして最も重要な「後悔しないための選び方」まで、徹底的に、そして分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは新電力に関する正しい知識を身につけ、ご自身の家庭に最適な電力会社を自信を持って選べるようになっているはずです。さあ、賢い選択で家計を見直す第一歩を踏み出しましょう。
- 新電力は電力自由化によって選べる時代に
- → 大手だけでなく、通信・ガス会社なども参入
- 安さの秘密は「効率的な仕組み」と「卸売仕入れ」
- → 設備を持たずに市場から電力を仕入れることでコスト削減
- 乗り換えても電気の品質・停電リスクは変わらない
- → 送配電は従来通り、大手電力が管理している
- メリットだけでなく「デメリットや倒産リスク」も知る
- → プランの複雑さや市場変動に注意
- 自分に合った新電力を選ぶには“7つのチェックポイント”が鍵
- → 検針票の確認・料金シミュレーション・解約条件などが重要
新電力は、電力自由化により登場した新しい選択肢で、電気代を安くできる可能性があります。仕組みや料金の内訳、乗り換え方法を正しく理解すれば、誰でも安心して使えます。大切なのは「安さ」だけに飛びつかず、自分の生活に合ったプランと信頼できる会社を選ぶこと。この記事を読めば、新電力の基本から選び方、注意点までを網羅的に理解でき、家計改善の一歩を自信を持って踏み出せます。
【基礎知識編】そもそも新電力とは?仕組みをわかりやすく解説

まずは「新電力って一体何?」という基本的な疑問から解決していきましょう。言葉は聞いたことがあっても、その実態を正確に理解している方は意外と少ないものです。ここでは、新電力の正体と、なぜ電気代を安くできるのか、そのカラクリを専門用語を避けながら解説します。
新電力(PPS)の正体とは?大手電力会社との違い

新電力とは、2016年4月の「電力小売全面自由化」以降に、家庭向けの電力販売に参入した新しい電力会社のことです。正式には「小売電気事業者」と呼ばれ、その英語名(Power Producer and Supplier)の頭文字をとってPPSと略されることもあります。
電力自由化以前は、各地域で決められた大手電力会社(東京電力、関西電力など)からしか電気を買うことができませんでした。しかし、自由化によって様々な業種の企業が電力販売に参入し、私たちは携帯電話会社を選ぶように、電力会社も自由に選べるようになったのです。
項目 | 大手電力会社(従来) | 新電力(PPS) |
---|---|---|
特徴 | 各地域を独占的に担当 | 競争原理のもと多様な企業が参入 |
料金プラン | 規制料金が多く、選択肢が限定的 | 自由な価格設定、ユニークなプランが多数 |
参入企業 | – | ガス会社、通信会社、商社など様々 |
供給エリア | 原則として決められたエリア内 | 全国展開している会社も多い |
なぜ電気代が安くなる?新電力の料金設計のカラクリ
新電力が大手電力会社よりも安い料金プランを提供できる主な理由は、経営の効率化にあります。
大手電力会社は、発電所や送電網といった巨大な設備を自社で保有・維持管理する必要があり、そのコストが電気料金に上乗せされています。一方、多くの新電力は自社で大規模な発電設備を持たず、電力の卸売市場(JEPX)から電気を仕入れたり、他の発電事業者から購入したりして販売に特化しています。
これにより、設備投資や維持管理費、人件費といった固定費を大幅に抑えることができ、その分を安い電気料金として消費者に還元できるのです。まさに、店舗を持たないネット通販が安いのと同じ理屈です。
電力の品質は変わらない?停電しやすくなるは誤解
「新電力にすると電気が不安定になったり、停電しやすくなったりしないの?」これは非常によくある誤解ですが、答えは明確にNOです。
私たちが使う電気が自宅に届くまでには、「発電」「送配電」「小売」の3つの部門が関わっています。新電力が担当するのは、このうち「小売(販売)」の部分だけです。
実際に電気を各家庭に届けるための電線や電柱といった「送配電網」は、これまで通り地域の大手電力会社(送配電事業者)が管理・運用しています。つまり、どの電力会社と契約しても、電気は同じ送配電網を通って届けられるため、電力の品質や安定供給は全く変わりません。停電のリスクが高まることもありませんので、ご安心ください。
どこから電力を調達している?新電力の電源構成

新電力は、主に以下の方法で販売する電力を調達しています。
- 日本卸電力取引所(JEPX)からの購入: 国内で唯一の電力卸売市場です。多くの新電力がここから電気を仕入れています。市場価格は需要と供給のバランスで30分ごとに変動します。
- 発電事業者との直接契約(相対契約): 発電所を持つ事業者と直接、長期的な購入契約を結びます。これにより、JEPXの価格変動リスクを抑え、安定した価格での電力調達が可能になります。
- 自社発電: 自社で太陽光発電所などを持つ新電力も増えています。環境価値を重視するプランなどで活用されます。
会社の安定性を考える上では、JEPXへの依存度だけでなく、相対契約や自社発電の比率も重要なポイントになります。この点は後ほど「選び方」の章で詳しく解説します。
電気料金の内訳を理解しよう

電気の検針票を見ると、いくつかの項目に分かれていることに気づきます。新電力を比較する上で、この内訳の理解は必須です。
- 基本料金(または最低料金): 電気の使用量にかかわらず、毎月固定でかかる料金。契約アンペア数によって決まります。
- 電力量料金: 使用した電気の量(kWh)に応じてかかる料金。1kWhあたりの単価が設定されています。新電力各社が最も工夫を凝らす部分です。
- 燃料費調整額: 発電に使われる原油やLNG(液化天然ガス)などの燃料価格の変動を、電気料金に反映させるための調整額です。燃料価格が上がれば加算され、下がれば減算されます。この項目が近年、電気代高騰の大きな要因となっています。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金): 太陽光など再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気を使うすべての人から集められるお金です。この単価は国が定めており、どの電力会社でも一律です。
新電力を選ぶ際は、電力量料金の単価だけでなく、特に「燃料費調整額」の扱いに注意する必要があります。

「新電力=安かろう悪かろう」と思っていませんか? でも実際は送電部分は変わらないので、電気の質はどこでも同じ。安心して比較検討して大丈夫です!「万が一倒産したら…」と不安な方、ご安心を。電気は止まらず、大手が一時的に引き継いでくれます。焦らず再契約すればOKです。
- 新電力は“大手の代わり”ではなく“選べる自由”の象徴。
- 自社で発電しない=価格を抑える合理性あり。
- 小売だけを担当するから品質や停電リスクに影響しない。
新電力のメリット・デメリットを徹底比較


自由化から数年が経ち、新電力のサービスも成熟してきました。乗り換えを検討する際は、良い面(メリット)だけでなく、注意すべき点(デメリット)も正しく理解することが、後悔しないための鍵となります。
新電力に乗り換える5つのメリット


- 純粋に電気料金が安くなる可能性
これが最大のメリットです。前述の通り、新電力は経営効率化により、大手電力会社よりも割安な料金設定をしている場合が多く、同じ量の電気を使っても月々の支払額を抑えられる可能性があります。特に、電気使用量の多いファミリー世帯やオール電化住宅では、節約効果を実感しやすいでしょう。 - ライフスタイルに合ったプランを選べる
新電力各社は、顧客を獲得するためにユニークな料金プランを多数用意しています。例えば、夜間の電気料金が安くなるプラン、週末の料金が割引になるプラン、基本料金が0円のプランなど、自分の生活リズムに合わせて最適なプランを選ぶことで、さらに効率的に電気代を節約できます。 - ガスや通信とのセット割でお得に
ガス会社や通信会社、ガソリンスタンドなどが運営する新電力では、自社のサービスと電気をセットで契約すると割引が受けられる場合があります。光熱費や通信費を一つの会社にまとめることで管理が楽になり、かつトータルで支出を削減できるのは大きな魅力です。 - ポイントが貯まる・使える
楽天ポイントやTポイント、Pontaポイントなど、提携するサービスのポイントが電気料金の支払いで貯まるプランも人気です。普段から利用しているポイント経済圏がある方にとっては、実質的な値引きとなり、お得感が増します。 - 環境に配慮した電力を選べる
再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)で発電された電気を積極的に供給するプランを選ぶこともできます。「実質再エネ100%」をうたうプランなど、電気代を支払いながら地球環境の保護に貢献したいという価値観を持つ方にとって、これは重要な選択肢となります。
知っておくべき5つのデメリットとリスク


- 料金プランが複雑でわかりにくい場合がある
メリットの裏返しですが、プランが多様化したことで、かえってどれを選べば良いかわかりにくくなっている面もあります。特に「市場連動型プラン」など、仕組みを理解しないまま契約すると、かえって料金が高くなるリスクもあります。 - 必ず安くなるわけではない
電気の使用量が極端に少ない一人暮らし世帯などの場合、大手電力会社の規制料金プラン(従量電灯Bなど)の方が安くなるケースもあります。乗り換えによって必ずしも安くなるわけではないことは、念頭に置いておくべきです。 - 契約期間の縛りや違約金が存在する場合がある
プランによっては「2年契約」といった期間の縛りがあり、期間内に解約すると数千円程度の違約金(解約金)が発生することがあります。転勤や引っ越しの可能性がある方は、契約期間の縛りがないか、事前に必ず確認しましょう。 - サポート体制が大手電力に及ばない可能性
新電力の中には、問い合わせ窓口をWebやチャットのみに限定し、電話サポートが手薄な会社もあります。トラブル時に手厚いサポートを期待する方にとっては、デメリットに感じられるかもしれません。 - 【最重要】倒産・事業撤退のリスク
これが新電力の最大の懸念点でしょう。実際に、近年の燃料価格高騰を受け、経営体力の乏しい新電力が倒産したり、電力事業から撤退したりする事例が相次ぎました。信頼できる会社を選ぶ視点が、以前にも増して重要になっています。ただし、後述しますが、万が一倒産しても電気が突然止まることはありません。



「安い」だけに惹かれると失敗しがち。自分の使い方に合った“実質的なトク”を見極めることが大切ですよ。
- 家族構成や生活リズムでお得度が変わる。
- プランは豊富だが、選び方を間違えると逆効果。
- リスク(価格変動・倒産など)も「知っていれば防げる」。
【最重要】後悔しない新電力の選び方7つのチェックポイント


メリット・デメリットを理解した上で、いよいよ本題である「新電力の選び方」です。数多ある選択肢の中から、あなたの家庭にとっての「正解」を見つけ出すための7つのチェックポイントを、専門家の視点から伝授します。
チェック1:あなたの「電気の使い方」を把握する(検針票を用意しよう)


まず最初に行うべきは、現状把握です。手元に直近数ヶ月分の「電気ご使用量のお知らせ(検uin票)」を用意してください。ここで確認すべきは以下の3点です。
- 契約アンペア(A)数: 基本料金を決める要素です。
- 毎月の電気使用量(kWh): 料金シミュレーションの基礎データになります。
- 現在の料金プラン名: 比較の基準となります。
これらの情報、特に毎月の電気使用量を把握することで、どの料金プランが自分に合っているのか、客観的に判断できるようになります。
チェック2:料金プランの種類を理解する(固定単価 vs 市場連動)
新電力の料金プランは、大きく2つのタイプに分けられます。それぞれの特徴を理解し、どちらが自分の考え方に合うか判断しましょう。
- 固定単価プラン(主流):最も一般的なプランです。電力量料金の単価(円/kWh)が固定されています。料金の見通しが立てやすく、安定性を重視する方におすすめです。多くの新電力はこちらのタイプを採用しています。
- 市場連動型プラン:電力卸売市場(JEPX)の取引価格に連動して、電力量料金の単価が30分ごとに変動するプランです。市場価格が安い時間帯に電気を使えば大幅に安くなる可能性がありますが、価格が高騰した際には青天井で電気代が跳ね上がるリスクを伴います。節電への意識が高く、リスクを取ってでも大きな節約を狙いたい上級者向けのプランと言えます。初心者の方は、まずは固定単価プランから検討するのが賢明です。
チェック3:「燃料費調整額」の上限は設定されているか?
これは非常に重要なチェック項目です。前述の通り、「燃料費調整額」は燃料価格の変動を料金に反映させるものですが、大手電力会社の従来のプランには、急激な高騰から消費者を守るための「上限」が設けられていました。
しかし、多くの新電力や大手電力の新しい自由料金プランでは、この上限が撤廃されています。上限がないと、燃料価格が際限なく高騰した場合、その分がそのまま電気代に上乗せされ、想定外の高額請求につながるリスクがあります。
安定性を最優先するならば、燃料費調整額に上限が設定されている電力会社を選ぶのがセオリーです。公式サイトの料金詳細やよくある質問などで、上限の有無を必ず確認してください。
チェック4:会社の信頼性・安定性を見極める(倒産リスクの見分け方)
倒産リスクを避けるため、会社の信頼性を見極めることは不可欠です。以下のポイントをチェックしましょう。
- 親会社の存在: 大手のガス会社、石油元売り会社、通信会社、商社などが親会社である場合、経営基盤が安定している可能性が高いです。
- 資本金の額や設立年数: 会社の規模や実績を示す一つの指標になります。
- 電源調達方法の多様性: JEPXからの調達だけに頼らず、自社発電所や長期の相対契約を確保している会社は、市場価格高騰時のリスク耐性が高いと言えます。
- 契約者数や実績: 多くのユーザーに選ばれているという事実は、信頼性の一つの証となります。
これらの情報は、企業の公式サイトやプレスリリースなどで確認できます。少し手間はかかりますが、安心して契約するための重要なステップです。
チェック5:契約期間と解約金の条件は?
思わぬ出費を避けるため、契約前に解約条件の確認は必須です。
「契約期間なし」「解約金0円」をうたう新電力が多く、乗り換えのハードルは下がっています。しかし、中には1年や2年の契約期間を設け、期間内の解明に数千円から1万円程度の解約金を設定している会社もあります。
特に、魅力的なキャンペーンを打ち出しているプランは、その条件として長期契約が必須になっているケースも少なくありません。引っ越しの予定がある方や、まずはお試しで使ってみたいという方は、解約金のないプランを選ぶのが無難です。
チェック6:セット割やポイント還元の「実質的なお得度」を計算する
セット割やポイント還元は魅力的ですが、そのお得度に目を奪われて本質を見失わないように注意が必要です。
例えば、「ガスとセットで毎月300円引き」という特典があったとしても、元の電気料金プランが他社より割高であれば、トータルでは損をしてしまう可能性があります。同様に、ポイント還元も「100円につき1ポイント(還元率1%)」では、元の料金が高ければ意味がありません。
割引額やポイント分を差し引いた「実質的な支払額」で他社と比較することが重要です。表面的なキャッチコピーに惑わされず、冷静に計算しましょう。
チェック7:複数の料金シミュレーションサイトを活用する
最後の仕上げとして、料金シミュレーションを活用しましょう。検針票の情報を入力するだけで、あなたの住んでいる地域や電気の使用状況に合った電力会社と、年間の節約額の目安を簡単に比較できます。
ただし、一つのサイトの結果だけを鵜呑みにするのは危険です。サイトによって提携している電力会社が異なったり、計算の前提条件が違ったりすることがあるからです。
比較サイトでシミュレーションを行い、共通して上位に表示される電力会社を候補に挙げることで、より客観的で信頼性の高い選択ができるようになります。



「どう選べばいいか分からない…」という方は、まず検針票とシミュレーターを使って、2〜3社だけ比べてみてください。最初の一歩が、大きな節約につながります!
電気料金比較シミュレーター
- 使い方を把握=検針票は情報の宝庫。
- 市場連動型は“ギャンブル”ではなく“理解すれば武器”。
- セット割やポイントは“数字で実質比較”がカギ。
【2025年最新】ライフスタイル別おすすめ新電力比較


選び方のポイントを押さえた上で、具体的なライフスタイル別に、どのような新電力がおすすめなのかを見ていきましょう。ここで紹介するのはあくまで一例です。必ずご自身でシミュレーションを行い、最終的な判断をしてください。
【一人暮らし・二人暮らし】電気使用量が少ない方向けのおすすめ
電気使用量が少ない世帯では、基本料金の有無が大きく影響します。
- シン・エナジー: 基本料金・電力量料金ともに大手電力会社より安価な設定が特徴。シンプルな料金体系で、着実に電気代を抑えたい方におすすめです。
- Looopでんき: 基本料金0円が最大の魅力。使った分だけ支払うシンプルなプランで、外出が多く家で電気をあまり使わない方にフィットしやすいです。ただし、市場連動型プランが中心のため、価格変動リスクの理解は必要です。
【ファミリー世帯】電気をたくさん使う家庭向けのおすすめ
在宅勤務や家族の人数が多く、電気をたくさん使う家庭では、電力量料金の単価が重要になります。
- CDエナジーダイレクト: 関東エリア限定ですが、電気使用量が多いほどお得になるプラン設計が特徴。ガスとのセット割も強力で、光熱費をまとめて安くしたいファミリーに人気です。ポイント還元も魅力の一つ。
- TERASELでんき: 豊富な特典が特徴。電気料金に応じて楽天ポイントが貯まるため、楽天経済圏をよく利用する家庭には実質的なメリットが大きくなります。
【オール電化住宅】夜間の電気利用が多い家庭向けのおすすめ
オール電化住宅は、エコキュートなどでお湯を沸かす夜間の電気使用量が非常に多くなります。そのため、夜間単価が安いプランを選ぶのが鉄則です。
- idemitsuでんき: オール電化専用プランを提供しており、夜間や休日の電気料金が割安に設定されています。さらに、車に乗る方にはガソリン代の割引特典もあり、生活スタイルによっては大きなメリットがあります。
- Looopでんき(スマートタイムONE): 市場価格が下がりやすい深夜・早朝に電気を多く使うことで、料金を大幅に抑えられる可能性があります。エコキュートの沸き上げ時間を調整するなど、積極的に節電に取り組める家庭におすすめです。
主要新電力会社比較表(2025年版・首都圏モデル)
電力会社 | 特徴 | こんな人におすすめ | 燃料費調整額の上限 |
---|---|---|---|
オクトパスエナジー | 実質再エネ100%プランが人気。ユニークな料金体系と親しみやすいブランド。 | 環境意識が高い方、新しいサービスを試したい方 | なし |
シン・エナジー | シンプルで分かりやすい料金体系。大手電力より着実に安くなる設計。 | 堅実に節約したい方、複雑なプランが苦手な方 | なし |
TERASELでんき | 選べる特典(楽天ポイント等)が豊富。キャンペーンも積極的。 | ポイントを貯めたい方、お得感を重視する方 | なし |
CDエナジーダイレクト | 中部電力と大阪ガスの共同出資。電気+ガスセット割が強力。(関東) | ファミリー世帯、ガスと電気をまとめたい方 | なし |
Looopでんき | 基本料金0円。市場連動型プランで積極的な節約が可能。 | 電気使用量が少ない方、価格変動リスクを許容できる方 | なし |
idemitsuでんき | ガソリン・軽油割引が特徴。オール電化プランも提供。 | 車をよく利用する方、オール電化住宅にお住まいの方 | なし |
※2025年6月時点の情報。上限の有無やプラン詳細は必ず公式サイトでご確認ください。



「誰かのおすすめ」ではなく、「あなたの生活」に合うプランがベスト。シミュレーションしてみると、自分にぴったりの電力会社が見つかりますよ。
- 一人暮らしは「基本料金0円プラン」が◎
- ファミリーは「使用量が多いほど割安」な単価重視
- オール電化は「夜間割引」など時間帯単価が重要
新電力への乗り換え手続きは簡単!3ステップで完了


「乗り換えって、手続きが面倒くさそう…」と思われがちですが、実際は驚くほど簡単です。工事の立ち会いや、現在の電力会社への解約連絡も原則不要です。
ステップ1:必要書類(検針票)を準備する


申し込みには、現在の電力会社の「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」に記載されている以下の情報が必要です。
- 供給地点特定番号(22桁)
- お客さま番号
これらは、乗り換え先が「どの場所の契約を切り替えるか」を特定するために必要な情報です。検針票が手元にない場合は、契約中の電力会社のWebサイトなどでも確認できます。
ステップ2:Webサイトから申し込む
乗り換えたい新電力が決まったら、その会社の公式Webサイトにアクセスし、申し込みフォームに必要事項を入力します。画面の案内に従って、準備した供給地点特定番号や個人情報、支払い情報などを入力するだけ。5分〜10分程度で完了します。
この申し込みをもって、現在の電力会社の解約手続きも新電力が代行してくれるため、自分で解約の電話などをする必要はありません。
ステップ3:スマートメーターの設置(未設置の場合)と利用開始


自宅の電力メーターが旧式のアナログメーターの場合、遠隔で検針ができる「スマートメーター」への交換が必要です。交換は無料で行われ、原則として立ち会いも不要です。作業は地域の送配電事業者が行います。
申し込みから1〜2ヶ月程度で、新しい電力会社からの電力供給がスタートします。開始日については、事前にメールなどでお知らせが届きます。



「乗り換えってなんだか面倒そう…」と感じているなら、ご安心ください。実はスマホ1つと検針票があれば、10分もかからず手続き完了!解約の電話も不要で、あっけないほど簡単です。
- 申し込みはWeb完結が主流。書類や電話不要なケースがほとんど
- 検針票(契約中の情報)さえあればOK。電気番号と住所があれば申し込み可能
- スマートメーターがすでに導入されていれば工事不要・立ち会い不要
新電力に関するよくある質問(Q&A)
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最後に、新電力に関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
賃貸住宅でも新電力に切り替えできる?
はい、原則として可能です。
マンションやアパートなどの賃貸住宅でも、電力会社との契約名義が自分自身であれば、自由に電力会社を切り替えることができます。ただし、建物全体で一括受電契約をしている場合は個人での切り替えができないため、事前に管理会社や大家さんに確認すると確実です。
新電力が倒産したら、電気は止まるの?
いいえ、電気は止まりません。
万が一、契約中の新電力が倒産や事業撤退をしても、電気が突然供給されなくなることはありません。「最終保障供給」というセーフティネット制度があり、一時的に地域の大手電力会社が電気を供給してくれます。ただし、この最終保障供給の料金は割高なため、なるべく早く新しい電力会社を見つけて契約し直す必要があります。
乗り換えに工事や費用はかかる?
原則として、費用はかかりません。
スマートメーターへの交換が必要な場合も、費用は無料です。申し込み手数料などもかからないのが一般的です。ただし、現在の電力会社の契約プランによっては解約金が発生する場合があるため、その点だけは事前の確認が必要です。
一度乗り換えたら、元に戻したり別の会社に変えたりできる?
はい、できます。
新電力に乗り換えた後でも、元の地域の電力会社に戻したり、さらに別の新電力に乗り換えたりすることも自由にできます。ただし、その際も解約金の有無には注意が必要です。
「市場連動型プラン」はやっぱり危険?
リスクを理解できれば、強力な武器にもなります。
電気代が高騰するリスクがあるため、「危険」「やばい」と言われることもありますが、一概に悪いプランというわけではありません。電力市場の価格が安い時間帯を狙って家事やEVの充電を行うなど、ライフスタイルを工夫できる方にとっては、他のどのプランよりも電気代を安くできる可能性を秘めています。リスクとメリットを天秤にかけ、ご自身の性格や生活スタイルに合うかを見極めることが重要です。
オール電化で家族4人の電気代はいくらですか?
オール電化の家庭で家族4人の場合、月の電気代は平均して18,000円〜25,000円ほどになるのが一般的です。
この金額には、冷暖房・照明・調理・給湯のすべてが電気に集約されていることが関係しています。特に冬はエコキュートや床暖房、エアコンの稼働が増えるため、25,000円を超えることもあります。逆に、夏や春秋の中間期はエネルギー消費が少ないので、15,000円台に抑えられることもあります。
さらに、夜間の電力単価が安い「時間帯別料金プラン」を上手に使えば、深夜の給湯・洗濯・食洗機利用などで節約が可能です。ただし、日中の在宅時間が長くなるとその分料金は上がります。
電気代は夏と冬どっちが高い?
一般的に、冬のほうが電気代は高くなりやすいです。
その理由は、暖房にかかるエネルギーが冷房よりも多いためです。冬は外気温と室温の差が大きく、エアコンやヒーターがより強く・長時間稼働することで、消費電力が増えます。加えて、日照時間が短くなるため照明を使う時間も長くなり、電気使用量が自然と増えがちです。
一方、夏はエアコンの冷房がメインですが、設定温度が高めでも快適に過ごせる場合が多く、使用時間や消費電力は冬ほど過酷ではありません。つまり、電気の使い方が重くなるのは冬。その結果、請求額も冬のほうが高くなる家庭が多いのです。
オール電化は何時から安くなる?
オール電化で電気が一番安くなる時間帯は、真夜中から早朝、だいたい22時〜翌7時頃です。
この時間帯は家庭全体の電力使用量が少なく、電力会社も深夜料金を安く設定しています。代表的なプランでは、22時〜翌8時あるいは23時〜翌7時などが「夜間(ナイトタイム)」として設定されており、通常の昼間料金より20〜40%程度も単価が低くなることがあります。
オール電化住宅では、夜間に給湯器(エコキュート)のお湯を沸かす、食洗機や洗濯機を稼働するなど、電力使用を夜間に集中させる生活スタイルが合っています。そうすることで月数千円の節約につながる可能性もあります 。
扇風機一日中つけたらいくら?
扇風機を一日中(24時間)つけっぱなしにしても、電気代はおよそ10円〜30円程度です。
これは、扇風機の消費電力がとても小さいためです。たとえば、一般的な扇風機の消費電力は30W前後。これを24時間つけても、使う電力量は約0.72kWh。1kWhあたりの電気代を27円とすると、0.72 × 27 = 約19円という計算になります。
風量やモードによって多少の差はあるものの、エアコンより圧倒的に電気代が安く、省エネで使える家電です。特に夜間の就寝中や、エアコンと併用して空気を循環させるのにもおすすめです。
エコキュートの電気代はいくらくらいですか?
エコキュートの電気代は、1ヶ月あたり2,000円〜3,500円程度が一般的です。
これは、家族の人数やお湯の使い方、地域の気温などで変動します。たとえば、4人家族であれば、月3,000円前後が平均的とされます。寒冷地や、長時間シャワーを使う習慣がある家庭ではやや高くなることもあります。
ただし、エコキュートは深夜の電気が安い時間帯にお湯を沸かす仕組みなので、オール電化プランと相性がよく、ガス給湯器に比べてランニングコストが安くなる傾向があります。



新電力はの乗り換えは「ちょっと不安…」という声、よく聞きます。でも実際は、新電力に切り替えても停電しませんし、倒産しても電気は止まりません。賃貸の方でもOK。思ったよりずっと安全で自由な仕組みです!
- 「停電しやすくなる?」→ NO。送電は大手電力会社が担うため品質は変わらない
- 「倒産したらどうなる?」→ 一時的に地域の大手が供給を代行する仕組みあり
- 「賃貸でも乗り換えられる?」→ 契約者名義が本人なら問題なし
まとめ:新電力は賢く選べば怖くない!家計見直しの第一歩を


本記事では、新電力の仕組みからメリット・デメリット、そして後悔しないための具体的な選び方までを網羅的に解説しました。
重要なポイントは、「新電力は、仕組みとリスクを正しく理解し、自分の暮らしに合った『選び方の軸』を持てば、家計を確実に楽にする賢い一手になる」ということです。
倒産リスクや料金高騰といった不安要素も、本記事で解説したチェックポイントを押さえることで、そのリスクを大幅に下げることができます。表面的な安さやキャンペーンに飛びつくのではなく、ご自身の電気の使い方を把握し、信頼できる会社を冷静に見極めること。それが成功の鍵です。
電気代の高騰が続くいま、何もしないでいることは、それ自体が家計にとってのリスクです。この記事を参考に、ぜひあなたに最適な電力会社を見つけ、賢い家計管理の第一歩を踏み出してください。